量子ビーム分析アライアンス インターンシップ体験記
名古屋工業大学 大学院工学研究科工学専攻創造工学プログラム
博士前期課程1年 高井 裕介
私は2023年の9月11日から12月15日までの約3か月、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)でインターンシップ生として実習を行いました。実習では量子ビーム分析アライアンス(QBAA)の小角中性子散乱実験や中性子イメージング実験、第1回成果報告会などに参加させていただきました。
私はブロックコポリマーが形成する特殊なミクロ相分離構造について研究しています。普段はX線を用いて構造解析を行っていますが、以前に参加した高分子学会の会場にて茨城県中性子ビームラインの担当者の方から、中性子線は原子核によって散乱されるという特徴があるため、X線とは別の視点から構造形成のメカニズムを考察できることを教えていただきました。そのため、実習では小角中性子散乱装置であるSANS-Jの原理・操作方法・データの解析方法の習得を目的として取り組みました。
SANS-Jでの実験の様子
TNRFでの実験の様子
SANS-Jでは操作方法やデータ解析に加え、実験に参加された企業の皆様へ装置の操作方法の説明や実験に関する提案をさせていただきました。この経験を通して私のコミュニケーション力やプレゼンテーション力の成長を実感しました。また中性子イメージング装置であるTNRFでは、装置の操作方法や原理について学び、量子ビーム分析アライアンス第1回成果報告会では、中性子の産業利用について大学では学べないことを多く学ばせていただきました。
インターンシップ最終報告会の様子
最終月にはインターンシップ最終報告会があり、これまでの実習内容や中性子と自身の研究への応用性について報告しました。その際、CROSS職員の皆様から多くの質問やコメントをいただき、学びの多い議論ができました。今回の実習内容を元に、今後はSANSを用いて特殊なミクロ相分離構造の形成メカニズムを明らかにしていければと考えています。
最後になりましたが、今回の実習を受け入れてくださいました柴山充弘センター長、指導していただいた三田一樹氏と新事業展開部を始めご関係の皆様に深く感謝いたします。また、研究室でご指導いただいている山本勝宏准教授(名古屋工業大学)にも、CROSSでの貴重な経験の機会を与えていただきまして深く感謝申し上げます。